場所と物語

ハイソックスと帽子/小田雄太

右奥にいるのが店長。名前を聞くのは忘れた

店長の若者、地域なりのビジネスの在り方

雑司が谷から南池袋公園に向かう途中、マンションの入り口に立て掛けられた「ハイソックスとスケートボード」の看板が目に入り、そのままマンションの階段を上ると廊下の突き当たりにスケートボードショップがあった。

「HIGHSOX SKATEBOARDS」という名前らしく、スケートボード専門のセレクトショップで、店長の金髪の若者は自身もスケーターをやりながら生まれ育った池袋で国内外のスケートボードブランドのセレクトショップをやっているという。裏側に事務所も構えているらしく、ルックスに相反した気さくな人柄と、ビジネスのバランスをよく考えている賢さにはとても好感がもてた。

アメリカのストリートカルチャーにおけるハイソックスとは、白いハイソックスをいつもピカピカに履くことで「俺は貧乏なんかじゃないんだぜ」という態度を示すための一種のカウンターメッセージだ。

そんなハイソックスを屋号にしつつ、スケートボードがオリンピックの正式種目になったことで「なんかの拍子に盛り上がってくれないすかね〜」と飄々と語る様子に、かつて治安が悪いイメージがあった池袋のストリートカルチャー以降の世代の軽やかな逞しさを感じた。
僕は買うつもりはなかったけど「人」という漢字が入ったキャップを買い、同じく買うつもりがなかったもこさんも帽子を買った。