場所と物語

お金を洗って大金持ちになるぞ。品川神社に湧く泉に軽々しくも心が踊る/今田素子

-品川神社入口。階段多い。

 

京急線の新馬場駅を降りると眼の前に大型トラックが烈しく行き交う幹線道路が横たわっている。横断歩道を渡った先の殺風景に整った歩道添いに、突如現れたかのごとく場違いな佇まいを見せる緑の木々の生える小山がある。そこが830年の歴史を誇る品川神社だ。

 

-本殿

 

大きな鳥居をくぐり、ごつくて急な石の階段を登ると本殿にたどり着く。都会の真ん中の小山のてっぺんの木々に囲まれた少し落ち着いた場所という以外、普通の神社とさほど変わらず特筆すべきこともない。

同じ敷地内に阿那稲荷神社、御嶽神社、浅間神社も祀られている。板垣退助の墓もある。そこからの眺めは、視界が開けて見渡し良く、晴れていれば間違いなしに爽快な気分になる。

 

-板垣退助の墓。

 

本殿へのお参りもそこそこに、赤い小さな鳥居がいくつも並ぶ小径を右手に降りていく。その奥にある阿那稲荷神社の先を行くと、なんとなく薄暗く、明らかに空気の流れの違う場所にたどり着く。これが世に言うパワースポットか。そこにお金を洗うとお金持ちになると言われる「一粒萬倍の泉」が湧き出ている。

 

-赤い鳥居の小道

 

試しに、お金持ちになりますようにとお祈りしながら財布にあった510円を備え付けのカゴに入れ、柄杓で汲んだ泉の水で洗ってみる。萬倍ってことは510万円か。一万円札を洗ったら一億円か。しかしさすがにお札は洗えない。なんてことを考えてるとバチがあたるかなぁ。

 

-ここはなんだかひんやり。別の空気が流れている。

 

さて、この洗った510円、

何に使えば御利益発揮してくれるのかな。

 

-阿那稲荷神社