場所と物語

場所と物語

[東京ステイ日記] 風をあつめてピルグリム

次の打合せ先へ向かう最短の経路をGoogleマップで調べたら、都電荒川線が出てきた。 最寄り駅まで徒歩11分、都電荒川線11分、駅から徒歩2分。東京で暮らし始めてからバスにはよく乗るようになったが、都電は「ゆっくり」「の

[東京ステイ日記] ベランダで根づいた山吹

東京で暮らし始めて2ヶ月が経った。 忙しい忙しい、と言い訳しながら、未だ本の詰まったダンボールに囲まれて眠っている。朝起きて雨が降っていなければ、窓を開ける。いつも水彩絵の具を薄めたような空と、やわらかく霞んだスカイツリ

[東京ステイ日記] 上海の路上で出会った仙人:後編

←この記事は『上海の路上で出会った仙人』前編の続きです。   公共空間という「制度の余白」 もうひとつは「外」の話。中国にはよく知られる通り、検閲というものが存在している。演劇の公演は事前に申請をして、脚本など

[東京ステイ日記] 上海の路上で出会った仙人:前編

6月の上海は夏が始まったばかり、という陽射し。道端の紫陽花が茶色く乾いていた。車通りの激しい道沿いを歩くと少し喉が痛くなったけれど、大気汚染も聞いていたほどひどくはない。夕暮れにはレンガ色の街並みを涼しい風が吹き抜け、ふ

[東京ステイ日記] 東京といつまで他人でいられるのか問題

東京で暮らすことを考えている。ほんの数ヶ月前までは関西に引越す準備をしていたのだけど、いろいろあって関東に留まることになった。なった、といってもまだ引越しが決まっていないから、今のところ仮の話だ。 神奈川で育ったので、東